CHAPTER 01 · 01 · FOUNDATION

関数とグラフ

入力と出力の関係から、グラフの移動、合成関数、逆関数まで。微分・積分を学ぶための土台を整えます。

読了目安 約24分7セクション例題・確認問題つき
1.1

関数は「入力から出力を決める規則」

関数とは、定められた範囲の各入力に対して、出力がただ一つ決まる対応です。例えば「一辺が x cm の正方形の面積」を A(x) = x² と書けば、x を決めると面積が決まります。この場面では長さなので x > 0 と考えます。同じ式でも、扱う問題によって入力できる範囲は変わります。

f : D → ℝ  x ↦ f(x)

D を定義域、実際に出力される値の集合を値域と呼びます。f(x) = x² の定義域を ℝ とすると値域は [0, ∞) です。一方、定義域を −2 ≤ x ≤ 1 に限ると値域は 0 ≤ f(x) ≤ 4 になります。式だけでなく「どの x を許すか」も関数の情報です。

記号 f(x) は「f と x の掛け算」ではありません。関数 f に x を入力した結果を表します。f(3) を求めるときは、式の中のすべての x を 3 に置き換えます。f(x) = 2x² − x なら f(3) = 18 − 3 = 15 です。

1.2

グラフから、値・符号・変化を読む

関数 y = f(x) のグラフは、点 (x, f(x)) を座標平面に集めたものです。横軸で入力 x を選び、グラフまで縦に進むと、縦軸方向の高さが出力になります。グラフは式を絵にするだけでなく、式から見えにくい性質をまとめて表してくれます。

グラフと x 軸の交点は f(x) = 0 の解です。x 軸より上にあれば f(x) > 0、下にあれば f(x) < 0。右に進むほど高さが増える区間では関数が増加し、減る区間では減少します。ただし「f(x) が正」と「f(x) が増加」は別の性質です。負の値を取りながら増加することもあります。

f(x) = x² − 4 = (x − 2)(x + 2)
f(x) = 0 ⇔ x = −2, 2
f(x) < 0 ⇔ −2 < x < 2

この放物線は x = 0 で最小値 −4 を取り、x < 0 の側で減少、x > 0 の側で増加します。例えば x = −3 から −2 に進む間、関数の値は 5 から 0 へ減ります。値が正であることと、増加していることを分けて読み取れるようにしましょう。

グラフが関数を表すかは、縦の直線を引いて確かめられます。一つの x に二つ以上の y が対応する図形は、そのままでは y を x の関数として表せません。円 x² + y² = 1 は上半分・下半分に分ければ、それぞれ関数になります。

1.3

平行移動と拡大を、式の内側・外側で区別する

基準のグラフを一つ知っていると、似た式のグラフを効率よく描けます。f(x) + k は各点の高さを k だけ変えるので、グラフを上に k だけ平行移動します。f(x − h) は、元と同じ出力を得るための入力が h だけ大きくなるので、グラフを右に h だけ移動します。

y = f(x − h) + k
元の点 (a, f(a)) → 新しい点 (a + h, f(a) + k)

例えば y = (x − 3)² + 2 は y = x² を右に 3、上に 2 移した放物線です。頂点は (3, 2)。式の「−3」を見て左に動かすのはよくある間違いです。x = 3 を代入すると括弧の中が 0 になる、と確認すれば向きが分かります。

外側の係数 a は縦方向の倍率を表し、y = 2f(x) なら各点の高さが 2 倍になります。y = −f(x) は x 軸についての対称移動です。内側の係数 b > 0 は横方向の倍率の逆数になり、y = f(2x) は横に 1/2 倍に縮みます。y = f(−x) は y 軸についての対称移動です。

1.4

合成関数は、規則を順に適用する

二つの関数 f と g を続けて使うと、新しい関数を作れます。先に g を使い、その結果を f に入力する操作が合成関数 f ∘ g です。記号は右側から読み、(f ∘ g)(x) = f(g(x)) と書きます。「x を g で加工してから f に渡す」と考えると自然です。

g(x) = x² + 1, f(u) = √u
f(g(x)) = √(x² + 1)
g(f(x)) = (√x)² + 1 = x + 1 (x ≥ 0)

この例では、順番を変えると式も定義域も変わります。f(g(x)) はすべての実数で定義できますが、g(f(x)) は最初に √x を計算するため x ≥ 0 が必要です。簡単な式に整理できたからといって、もとの定義域が自動的に広がるわけではありません。

合成関数の定義域は「g(x) が計算でき、さらに g(x) が f の定義域に入る x」です。例えば f(u) = 1/(u − 4)、g(x) = x² なら、f(g(x)) = 1/(x² − 4) なので x ≠ ±2 が必要です。外側と内側の制約を両方確認します。

この見方は微分で特に役立ちます。(3x + 1)⁵ を、外側の「5 乗する関数」と内側の「3x + 1」に分ければ、合成関数の微分法を使う準備ができます。複雑な式も、基本的な操作の積み重ねとして読む習慣をつけましょう。

1.5

逆関数には「出力から入力が戻せる」条件がある

関数の対応を逆向きにたどる規則を逆関数と呼び、f⁻¹ と書きます。これは 1/f という逆数とは違う記号です。逆関数が一つの値に決まるには、異なる入力が同じ出力にならないことが必要です。この性質を一対一といいます。

f(x) = 2x + 3
y = 2x + 3 ⇔ x = (y − 3)/2
f⁻¹(x) = (x − 3)/2

もとの関数の定義域が逆関数の値域になり、もとの値域が逆関数の定義域になります。f(x) = x² を実数全体で考えると、出力 4 に対して入力が 2 と −2 の二つあるため逆関数を作れません。しかし定義域を x ≥ 0 に限れば一対一になり、逆関数は √x です。

もとの点 (a, b) は逆関数では (b, a) になるので、二つのグラフは直線 y = x について対称になります。逆関数を求めたら f⁻¹(f(x)) = x と f(f⁻¹(x)) = x が、それぞれ適切な定義域で成立するか確かめると安心です。

1.6

方程式と不等式を、関数の比較として見る

方程式 f(x) = g(x) は、二つのグラフの高さが等しくなる入力を探す問題です。不等式 f(x) > g(x) は、f のグラフが g より上に来る範囲を探す問題です。移項して h(x) = f(x) − g(x) と置けば、どちらも一つの関数の零点や符号を調べる問題にまとめられます。

x² < x + 2
⇔ x² − x − 2 < 0
⇔ (x − 2)(x + 1) < 0
⇔ −1 < x < 2

根が −1 と 2 なので、数直線を三つの区間に分けます。積が負になるのは二つの因子の符号が異なる真ん中の区間です。答えの端に等号が付くかは、もとの不等号で決まります。二乗の因子のように重なった根では、根を通過しても符号が変わらない場合があるので注意します。

分数の不等式では、分母の符号が決まらないまま両辺に掛けることを避けます。例えば (x + 1)/(x − 2) > 0 は、分子と分母が同符号になる x < −1 または x > 2 が解です。分母が 0 になる x = 2 は、等号を含む問題でも解には入りません。

両辺を二乗する操作にも条件があります。√(x + 2) = x なら、左辺は非負なので右辺も x ≥ 0 が必要です。二乗して x + 2 = x² を解くと x = 2, −1 が出ますが、−1 は元の式を満たしません。式を変形する際は、同値な変形か、候補を増やす変形かを意識し、最後に元の条件へ戻して確かめましょう。

この「差を一つの関数と見る」考え方は、微分を使った不等式の証明にもつながります。例えば eˣ ≥ 1 + x を示すときは、h(x) = eˣ − 1 − x の最小値が 0 であることを調べればよいのです。関数の比較として読み直すことで、計算の目的が明確になります。

1.7

基本関数を見分け、次の単元につなげる

一次関数 ax + b は変化の割合が一定です。二次関数 ax² + bx + c は平方完成すると頂点が見えます。多項式は実数全体で連続に扱えますが、分数関数は分母が 0 になる点を除く必要があります。絶対値 |x| は x ≥ 0 で x、x < 0 で −x という区分的な関数です。

x² − 4x + 1 = (x − 2)² − 3
|x| = x (x ≥ 0), |x| = −x (x < 0)

指数関数 aˣ(a > 0, a ≠ 1)は、一定量ずつ増えるのではなく一定の倍率で変わる現象に現れます。対数関数 logax はその逆関数で、定義域は x > 0。特に底が e の対数を自然対数 ln x と書きます。三角関数は角度や周期的な現象を表し、後の章で詳しく扱います。

新しい関数に出会ったときは、①定義域、②軸との交点、③対称性、④増減、⑤端や除外点の近くの様子、の順に調べると全体像がまとまります。微分は④を、極限は⑤を詳しく調べる道具です。積分は、関数が作る面積や積み重なった量を計算する道具になります。

式・グラフ・言葉の三つを行き来することが大切です。「頂点が右に 2、下に 3」という言葉から (x − 2)² − 3 を書き、式から頂点 (2, −3) を読み取る。この往復ができると、計算の途中でも答えの形が妥当か判断できます。

CHECK YOUR UNDERSTANDING

理解を確かめる

まずは紙とペンで考えてから、解答をひらいてみましょう。

QUESTION 01
f(x) = √(5 − x) の定義域と値域を求めよう。
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解答
定義域は x ≤ 5、値域は y ≥ 0。

平方根の中が 0 以上なので 5 − x ≥ 0。x を小さくすると 5 − x はいくらでも大きくなり、平方根の出力は 0 以上のすべての値を取ります。

QUESTION 02
y = −2(x + 1)² + 3 の頂点と最大値を求めよう。
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解答
頂点は (−1, 3)、最大値は 3。

(x + 1)² ≥ 0 だから −2(x + 1)² ≤ 0。x = −1 のときに等号が成り立ちます。下向きの放物線です。

QUESTION 03
f(x) = 1/x、g(x) = x − 2 のとき f(g(x)) とその定義域は?
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解答
f(g(x)) = 1/(x − 2)、定義域は x ≠ 2。

g(x) の出力を f に入力します。f は入力 0 を許さないため、g(x) = x − 2 ≠ 0 が必要です。

QUESTION 04
f(x) = x² + 1(x ≥ 0)の逆関数を求めよう。
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解答
f⁻¹(x) = √(x − 1)(x ≥ 1)。

y = x² + 1 を x ≥ 0 の条件で解くと x = √(y − 1)。もとの値域 [1, ∞) が逆関数の定義域です。

ここまで読めたら、一歩前進。

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