平均変化率を、瞬間の変化率へ近づける
x が a から a + h へ変わったとき、出力の変化を入力の変化で割った値 [f(a + h) − f(a)]/h が平均変化率です。グラフでは二点を結ぶ割線の傾きに当たります。h を 0 に近づけた極限が有限に存在するとき、その値を x = a における微分係数 f′(a) といいます。
例えば f(x) = x² なら、分子を展開すると (a + h)² − a² = 2ah + h²。h ≠ 0 で割った式は 2a + h なので、h → 0 で f′(a) = 2a となります。a = 3 では傾き 6、a = −1 では傾き −2 です。場所によって変化の速さが違うことが数式に現れています。
a を変数 x に置き換えて、各点の微分係数を対応させた関数が導関数です。元の関数を微分するとは、この導関数を求めることです。f′(a) は一つの数、f′(x) は場所ごとの変化率を表す関数として区別しましょう。
位置 s(t) を時間 t で微分すれば速度 v(t)、速度をもう一度微分すれば加速度 a(t) になります。単位にも意味があります。位置が m、時間が s なら、速度の単位は m/s、加速度は m/s² です。
接線と、微分できない点
f が x = a で微分可能なら、点 (a, f(a)) における接線の傾きは f′(a) です。傾きと通る点が分かる直線の公式から、接線の方程式が得られます。接線は曲線の近くでの振る舞いを直線として表します。
y = x² の x = 2 における接線は、点 (2, 4)、傾き 4 より y − 4 = 4(x − 2)、つまり y = 4x − 4 です。接線は必ずグラフと一度だけ交わる線、という定義ではありません。別の場所で再び交わることもあります。
連続だからといって、必ず微分できるとは限りません。f(x) = |x| は 0 で連続ですが、右からの差商は 1、左からは −1 になり、一つの接線の傾きに定まりません。尖った点ではこのように左右の変化率が異なる場合があります。
したがって |x| は x = 0 で微分不可能
一方、微分可能なら必ず連続です。微分の定義で差商が有限な値に近づくなら、f(a + h) − f(a) は「差商 × h」として 0 に近づくためです。つまり微分可能性は、連続性より強い条件です。
基本公式と、積・商の微分
毎回定義から計算する代わりに、定義から証明された公式を使います。定数関数の微分は 0、関数の和はそれぞれ微分して足し、定数倍は外に出せます。べき関数の公式により、多項式は項ごとに手早く微分できます。
(af + bg)′ = af′ + bg′
n が正の整数なら全実数で使えます。実数の指数 n に広げる場合は、例えば x > 0 など、そのべき関数が実数として定義・微分できる範囲で使います。x⁻¹ なら x ≠ 0、√x の導関数 1/(2√x) なら x > 0 が必要です。
(f/g)′ = (f′g − fg′)/g² (g ≠ 0)
積の微分は f′g′ ではありません。例えば y = x² sin x を微分すると、x² を微分した項と sin x を微分した項の両方を足し、y′ = 2x sin x + x² cos x となります。商の公式では分子の引き算の順序にも気をつけます。
y′ = {(x − 1) − (x + 1)}/(x − 1)²
= −2/(x − 1)²
式が整理できる場合は、微分する前に整理すると計算が短くなります。例えば (x² + x)/x は x ≠ 0 で x + 1 に等しいので、導関数はその範囲で 1。ただし元の定義域 x ≠ 0 を忘れないようにします。
合成関数の微分は「外側 × 内側」
y = f(g(x)) のように関数が入れ子になっているときは、連鎖律を使います。外側の関数を、その入力 g(x) を一まとまりとして微分し、最後に内側の変化率 g′(x) を掛けます。内側が x の何倍の速さで変わるかを補正していると考えられます。
例えば y = (3x + 1)⁵ では、外側が u⁵、内側が u = 3x + 1 です。外側の微分は 5u⁴、内側の微分は 3 なので、y′ = 15(3x + 1)⁴。最後の 3 を忘れると、入力の変化の速さを反映できません。
{ex²}′ = 2xex²
{ln(1 + x²)}′ = 2x/(1 + x²)
指数関数の例は、e の指数が x²、すなわち ex² という意味です。対数の例では 1 + x² > 0 が全実数で成り立つので、すべての x で微分できます。y = ln(3x − 1) なら、実数で扱うため x > 1/3 という条件が先に必要です。
入れ子が三段以上でも同じ考え方を繰り返します。y = √(1 + sin²x) は、平方根、1 + u²、sin x の順に外から微分して、y′ = sin x cos x / √(1 + sin²x) です。どこが外側でどこが内側か、式に区切りを入れると見通しがよくなります。
三角関数・指数・対数を微分する
三角関数の微分は、極限 sin h / h → 1 を使って導けます。角度はラジアンです。sin と cos を微分すると互いの関数に移り、符号だけが変わっていく性質は、周期運動を扱うときにも現れます。
(cos x)′ = −sin x
(tan x)′ = 1/cos²x (cos x ≠ 0)
指数関数 eˣ は、微分しても自分自身になる特別な関数です。自然対数 ln x はその逆関数で、導関数は 1/x になります。一般の底 a を使う場合は、ln a という係数が現れます。
(ln x)′ = 1/x (x > 0)
(logax)′ = 1/(x ln a) (a > 0, a ≠ 1, x > 0)
ln|x| は x ≠ 0 で定義され、x の正負にかかわらず導関数は 1/x です。x < 0 では ln|x| = ln(−x) と書き、連鎖律で (1/(−x)) × (−1) = 1/x と確認できます。ただし x = 0 をまたいで一つの連続な関数として扱うことはできません。
公式を覚えるときは、似た形の取り違えに注意します。xⁿ は指数 n が一定で底 x が変数、aˣ は底 a が一定で指数 x が変数です。xˣ のように両方が変数なら、x > 0 で ex ln x と表し、連鎖律から xˣ(ln x + 1) と求められます。
導関数の符号から、増減と極値を調べる
ある区間で f′(x) > 0 なら f は増加し、f′(x) < 0 なら減少します。導関数が 0 になる点や、導関数が定義されない点を区切りとして符号を調べると、グラフの形を整理できます。微分可能な内点で極大・極小を取るなら f′(x) = 0 ですが、逆は必ずしも成り立ちません。
f′(x) = 3x² − 3 = 3(x − 1)(x + 1)
x < −1 では導関数が正、−1 < x < 1 では負、x > 1 では正です。したがって x = −1 で増加から減少へ変わり極大値 2、x = 1 で減少から増加へ変わり極小値 −2 を取ります。式を解いて候補を探し、その前後の符号で判定する、という二段階が大切です。
f(x) = x³ は f′(0) = 0 ですが、0 の左右で増加し続けるので極値を持ちません。「導関数が 0」だけで極値と決めないようにしましょう。また極大・極小は近くの点との比較であり、定義域全体での最大・最小とは異なります。
二階導関数と、直線による近似
導関数をさらに微分したものを二階導関数 f″(x) といいます。f′ が「値の変わる速さ」なら、f″ は「傾きの変わる速さ」です。f″ > 0 の区間では傾きが増え、グラフは下に凸になります。f″ < 0 の区間では傾きが減り、上に凸になります。
f″(x) < 0:傾きが減少、上に凸
凸の向きが切り替わる点が変曲点です。f″(a) = 0 は候補になりますが、それだけでは決まりません。例えば x⁴ は f″(0) = 0 でも左右で下に凸のままです。一方 x³ は f″(x) = 6x が 0 の前後で符号を変えるので、原点が変曲点になります。
微分可能な関数は、その点の近くで接線に近づきます。小さな h に対して f(a + h) ≈ f(a) + f′(a)h と近似できます。これは局所的な近似で、遠くまで正確に使えるという意味ではありません。
= 2 + 0.01 = 2.01
ここでは f(x) = √x、a = 4、h = 0.04 としました。単に電卓で値を出すだけでなく、入力が少し変わると出力がどれだけ変わるかを説明できるのが微分の強みです。増減、最適化、誤差の見積もりへとつながります。
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理解を確かめる
まずは紙とペンで考えてから、解答をひらいてみましょう。
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各項を微分し、定数 4 は 0 になります。x = 2 を代入すると 24 − 20 = 4 です。
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外側の sin を微分して cos、内側 x² + 1 の導関数 2x を掛けます。
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ln 1 = 0、導関数は 1/x なので x = 1 で傾き 1。y − 0 = 1(x − 1) です。
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f′(x) = 2x − 4 より区間内の候補は x = 2。f(−1) = 6、f(2) = −3、f(3) = −2 を比較します。